修羅―――修羅がいる。
馬鹿でかい刀を軽々と振り回し、馬上の兵を薙ぎ倒していく姿はもはや人ではない。
あとに続く歩兵達もまるで塵(ごみ)のように吹き飛ばされていく。
弓兵の放った矢は目標に届くことなく一閃された。
血で鼻が利かない筈なのに鉄砲の位置を正確に見つけてくる。
そして一瞬、刀よりも鋭い視線が飛んできて鉄砲を構えた連中は引き金が引けなくなる。
中には腰を抜かす者もいた。
嵐のような一連の出来事に、あとからやってきた兵達も刀を構えたまま近付けずにいる。
そんな兵達を見て、刀を地面にドスンと下ろし叫んだ。
「戦はもう終わった!アンタらの軍の勝ちだ!だからこれ以上敗軍を追うな!」
その言葉で目が覚めた。
自分達は勝った。
敗軍の将を討つ為にここまで来たが、かなり足止めをされた。
もう追いくつのは無理だろう。ふっと場の空気が変わった。
それを見計らったように遠くで狼煙が上がる。
「もう大将は逃げちまった。アンタらも自軍に帰りな」
修羅はいつの間には人間に変わっていた。
「命は無駄にしちゃいけねぇよ」
子供のような顔で笑うとでかい刀を担ぎ上げ、塞いでいた道を駆けて行った。



男は何者だったのだろう