「骸はないのかい?」
「燃やしてしまった」
「遺品とかは?」
「処分した。武器も、衣服も、食器も全て」
「墓は?」
「存在しない存在にそのようなものはござらぬ。あれ程の力量を持つ者ならなおさらその死を隠さねばなるまい」
「…思い出は心の中にってか」
「その思い出さえも増え続ける記憶の中に埋もれてしまうのであろうな」
「…」
「いつか顔すらも忘れてしまうのであろうな」
「それが生きていくってことさ」
「だがあれの存在だけは忘れぬ」
「そうかい」
「某が忘れてしまったらあれが本当にいなくなってしまう」
「………あの忍は幸せ者だな」




貴方は笑って否定するだろうけど20061231